各地域で観察されるイスラームに基づく経済活動・行為について、各メンバーによる特定のディシプリンに応じた調査分析に基づく事象の解明はもちろん、これらを踏まえ、地域やディシプリンを越えた、経済をめぐる現代のムスリムやイスラーム諸国のミクロ・マクロな動向、およびこれらの相互連関の実態が明らかになることが期待できる。また、これらを明らかにすることによって、日本の産業界を中心とする社会的ニーズにも応えられると期待できる。
研究の実施計画
○ 研究方法
本課題においては、メンバーの研究対象に応じて複数のサブ・グループを構成する。想定している研究対象は、「イスラーム金融」「ハラール産業」「イスラームと地域経済」「ムスリム女性のファッション」「イスラーム・グッズ」である。各サブ・グループ内においては、メンバーの対象地域、すなわち東・東南・南・中央アジア、中東、北アフリカ等の各地域が重複しないよう配慮する。このような研究体制を構築することにより、イスラームをめぐる経済活動・行為のあり方を、産業および地域を横断する形で解明することが可能となると考えられる。
1年につき3-4回程度の頻度で、研究会を開催する。各研究会は、サブ・グループに対応する形で実施する。これにより、特定のテーマ、産業に関する地域間の相互比較と、他のサブ・グループに属する近接地域の研究者からの議論を通じて、理解・認識・解明を深めることができる。また、AA研海外拠点の一つであるコタキナバル・リエゾン・オフィスとの提携を行い、在外研究者による報告のための招聘、あるいは現地でのワークショップの共催などを図っていく。
○ 成果の公開方法
成果公開の方法として、(1)ウェブサイトの開設とこれを通じての情報公開、(2)3年目での公開シンポジウムの実施、(3)成果論集の作成、の3点を計画している。具体的な実施時期と内容については、下記の通りである。
○ 実施計画:1-2年目
・ 本課題のウェブサイトを開設する。これを通じて、研究会開催情報や報告要旨の公開、リレー・エッセー等をアップロードする。
・ 年に3-4回の頻度で、メンバーを報告者とする研究会を実施する。各研究会においては、サブ・グループをその時の研究会のテーマとし、当該サブ・グループのメンバーが報告を行う。2年間を通じて、全てのサブ・グループ、所属メンバーが報告を行うものとする。また、コタキナバル・リエゾン・オフィスと連携し、海外研究者による報告もこれに加える。
○ 実施計画:3年目
・ 1-2年目の研究成果を公開することを目的として、全メンバーによる公開シンポジウムを実施する。
・ 同じく研究成果の公開のため、成果論集を全メンバーで執筆する。成果論集作成にあたっては、合評会を実施する。近似のテーマ、近接地域を担当する他のメンバーからのレビューを行うことにより、論文集の水準の向上を図る。